リピート系注文各社の機能・特徴の比較。
第二回はシストレ24フルオートでもお馴染みのインヴァスト証券『トライオートFX』。
※別記事『インヴァスト証券『トライオート』。その特徴とリピート設定方法。』と統合しました。
概論・チェックポイントについては以下の記事をご参照。
何が基準?リピート系注文における証券会社選び、5つのポイント!
取扱通貨ペア
トライオートの取扱通貨ペアは以下の17ペア。まあまあ多い部類ではなかろうか。
米ドル/円(USD/JPY)
ユーロ/円(EUR/JPY)
英ポンド/円(GBP/JPY)
豪ドル/円(AUD/JPY)
NZドル/円(NZD/JPY)
加ドル/円(CAD/JPY)
スイスフラン/円(CHF/JPY)
南アランド/円(ZAR/JPY)
トルコリラ/円(TRY/JPY)
豪ドル/NZドル(AUD/NZD)
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
英ポンド/米ドル(GBP/USD)
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
NZドル/米ドル(NZD/USD)
ユーロ/豪ドル(EUR/AUD)
ユーロ/英ポンド(EUR/GBP)
米ドル/スイスフラン(USD/CHF)
個人的にはリピート系注文、特に長期の場合にはメジャー通貨ペアで行うべきだと思っているので、これで困ることはないだろう。
注文コスト
トライオートの手数料もまた、スプレッド+手数料の二段構え。なお、マネースクエアと違ってマニュアル注文の場合には手数料は発生しない。
まずはスプレッド
こちらは一般的、やや狭いくらいのスプレッド。自動売買のものとしては申し分ないのでは。
そして手数料
自動注文(旧称AP注文)の場合に掛かる手数料は上記の通り。
最小の1万通貨でも2.0pipsと、トラリピの半額以下の水準。※せま割を除く。
50万通貨以上だと無料というのは非常に魅力的なのだが、少なくとも億単位の運用資金が必要だろう・・・。
(ドル円想定レンジ30円幅、50万通貨でも必要資金は1億5000万円超)
実質取引コスト
トライオートの自動売買手数料もまたスプレッド組み込みになるので、自動売買の際には上記の手数料が掛かることになる。
なんと南アランド円のせま割を除いた全てのペアでトラリピよりも低コストである。
注文の自由度
一度発注した注文に対して、変更を加えられるか否か。
トラリピ同様に、最初に以下のような注文をしたものとして、何が出来て何が出来ないのかを挙げていく。
基本的には、セットではなく一本単位の連続注文の集合体であるので、それぞれを弄ることでトラリピとほぼ同レベルで何でもできる。その為、多くの部分がコピペである。
通貨ペア:ドル円(USD/JPY)
売買の別:買い
注文幅:100pips
利食い幅:100pips
注文レンジ:100円~120円(21本)
注文の取り消し
「レンジを広く設定しすぎた・・・」「狭く注文を入れ過ぎた・・・」
そんな時は1本単位で注文を取り消すことが出来る。
よって、注文を100円~115円に変更することも出来るし、1本おきに取り消して注文幅を2円に変更することも可能。
注文を取り消しても、約定したポジションは残る(決済注文も残る)ため、そのままにすることも出来るし、手動でポジションを取り消すことも可能。
注文の追加
「レンジ設定が狭かった・・・」「注文幅広すぎた・・・」
そんなときは95円~99円に5本の注文を追加してレンジ幅を95円~115円に変更することも出来るし、100.50円~119.50円に1円間隔20本の注文を入れることで注文間隔を0.50円に変更することも出来る。
(追加分を0.50円幅にすると.00円の注文が重複するので注意。)
100pips幅→30pips幅に変更したい場合などは、先述の通り注文を取り消してもポジションは残るので、全部取り消した後で30pips幅で注文を入れなおすことなども可能。
利食い幅の変更
「大きく値幅を取りたいから、利食いを200pipsにしたい」
そんな時も注文を一本単位で修正することが出来る。
あまりメリットはないが、「100円台は200pips利食い、110円台は100pips利食い」ということも技術的には可能。
約定済みのポジションに対しても変更を加えることが出来る。
一回全部消すのが便利か
トラリピもそうなのだが、注文を消しても約定済のポジションは保持されるので一度消してから注文を入れなおした方が綺麗になるかもしれない。
損切りについて
先に述べた通り、基本的には一本一本の連続注文の集合体として考えることが出来るので、トラリピと違って個々の損切り設定が可能。
それぞれの損切りを同一ラインに指定することでの一括損切りや、全ポジションを統合しての最大損失・最大ドローダウンでの損切り設定も可能。
この辺りも柔軟性が高いと言えるだろう。
独自機能:レンジ追尾・レンジフォーカス
トライオート独自の機能として、想定レンジを切り上げ(切り下げ)ていくレンジ追尾や、両建て版のレンジフォーカスなどといった機能があるのだが・・・
個人的にはあまりお勧めしない。理由は想定レンジ幅がかなり狭めに設計されていることなど、リスク管理面。
レンジフォーカスがイマイチだと思う理由については以下の記事も参照頂きたい。
5年?10年?リピート系注文の想定レンジ幅はどのくらい見積もるべき?
基本的な概念と注文の構造
トライオートはリピート系注文の中でも自由度が高いのだが、その反面分かりづらい設定も多い。そして、FAQを見てその疑問が解決するかというとそうでもない。
特徴的なのは、一本の注文に対して
1.利確はいくらか
2.損切りはいくらか
3.決済したら次の注文はどこで入れるか(フォロー/カウンター)
を設定していき、それらを複数本走らせることでの自動注文を運営する。という構造。
1,2だけであればごく普通のOCO注文だ。
※ちなみに損切りは指定しないことも可能。
これに、決済注文を起点に次の注文をどこに入れるかを指定することで、連続した注文が成立していく。ここがトライオートの特徴であり、若干分かりづらい部分だろう。
利確よりも上で次の注文を入れたいならばフォローを、下で入れたいならばカウンターを指定する。両方指定することも可能。(OCO的にいずれか一方先に達した方が約定する。)
上昇トレンドを追いかけるならば、フォローを指定することでこんな感じになっていく。
同じ値段で買って決済・・・を繰り返すならば、利確幅=カウンターとして設定する。トラリピ的リピート注文においてはこれが基本になるだろう。
カウンター固定という指定をしておくと、決済が滑っても新規は定めた通りの金額で注文が入る。
このように、上記注文を複数本入れていくことでトラリピ的リピート注文の形が完成する。
この辺りを念頭に入れておくと、設定などでの戸惑いが減るだろう。
では実際に発注してみる。
実際僕も最初に見た時は、実際に設定しながらマニュアルと照らし合わせていかないと理解できない部分がいくつかあったので、どのような設定をしていけばいいのか画像たっぷりで解説してきたい。
なお、スマホからは自分でのカスタム設定を行うことは出来ないので注意。(公開されている自動売買ランキングからの設定のみ可。今回の趣旨から逸れるので割愛。)
今回は例題として、以下の注文を行う場合の設定について解説していきたい。
通貨ペア:USD/JPY
売買の別:買い
想定レンジ:105円~115円
注文間隔:100pips
利確幅:100pips
損切り幅:なし
取引単位:1,000通貨
まずは自動売買の設定画面に
PC版トライオートの取引画面ににログインすると、左上の方にこんなボタンがある。
今回は自動売買を設定していくので、『自動売買専用パネル』を押下する。
自動売買専用パネル
左側にチャート、右側に設定がごちゃごちゃした画面が表示されるので、まずは左上で通貨ペアを選択しよう。
今回はUSD/JPYだ。
まずは複数作成-カスタム
右側の方のタブは、複数作成(クイック作成)を選択する。その中から右側のカスタムボタンを押す。
売買の選択
次に売買を選択する。今回は買いだ。
想定レンジ幅を選択する。
今回の注文で想定するレンジの幅をpips数で指定する。
注意すべきは、買いの場合は一番下の注文金額~一番上の注文の利確金額までを指定する必要があるということ。
今回は105円~115円だから1,000pips、ではなく『105円』~『115円+100pips=116円』だから1,100pips、が正解になる。
想定レンジ幅=上限金額-下限金額+利益幅
ここが非常に間違え易いので注意しよう。
取引額を設定
ここは予算などに応じて設定しよう。今回は1k(1,000通貨)だ。
推奨証拠金はあまりアテにしない。
ここまで入力する間にも、推奨証拠金が表示されている。まだ下の設定が終わっていないので、異常な値が表示されていても驚く必要はない。
ちなみにこの値、過去半年(?)の一週間での最大ドローダウンを考慮だとか何だとかで、まああまり気にする必要はない。
以下を基に計算することをおすすめする。
必要資金はいくら?リピート系注文における下落幅と含み損の早見表。
『初回注文価格』の言葉に惑わされない
その次に初回注文価格という項目があるのだけど・・・
これはどうも設定後最初に約定する注文という意味ではなく、一連の注文の起点となる注文、つまり買い注文の場合は底を指定すればいいようだ。
今回は105円~115円に注文を入れるので、105円が初回注文価格。
初回OCOは今回不要。どういう訳か、入れると注文価格が不思議なことになる。
詳細設定
初回注文価格は上記の通り。
設定本数は、その名の通り注文を出す本数。105円~115円なので、11本。10本じゃないよ、植木算だよ。
カウンター値は、利確地点を基準とした次の注文の位置なので、同値で連続して注文を出したい場合は利確幅=カウンター値として設定する。(正確にはカウンター値はマイナス表記)
今回は-100pips。利確が値滑りしても.000で注文が出るように、カウンター固定を有にしておこう。
そして利確幅は100pips。
損切り設定
一定のレートに達したら、一定幅下落したら、どちらでも設定可能。前者は全ポジション一同値での損切りで、後者はポジション毎の損切りとなる。
今回はなしとする。
ちなみにこの下にあるセーフティ設定でドローダウンや連敗数による稼働停止も設定可能。
入力はここまで
ここまで設定してきたものをまとめるとこうなる。
ここで青色のリストに追加ボタンを押すと、下部に注文一覧が表示される。
注文リスト
デフォルト注文名は『カスタムYYYYMMDDhhmm』になるようだ。消す必要もないけど、どこかで使いまわす為に消しておいた。
もし両建てする場合は、上の設定を売りで入れ直して再びリストに追加しよう。上書きではなく、追加される。
注文したいものが揃っていたら、次はリストを確定を押す。(確定といいつつ、まだ発注されないので気軽に押してOK)
改めて注文リスト確認
リストを確定を押すと、改めて確認画面が表示される。ここで自動売買を稼働を押すと、本当に発注される。
Downloadを押すと.jsonという形式で自動売買リストがDLできる。これをアップロードすることでも設定できるようだ。
このブログ上で公開したら需要あるのかな・・・文字と画像で充分だと思うのだが。
理解しちゃえば自由度は高い
カウンターとかフォローとか、独自の言い回しをするので若干とっつき難さを感じる上にガイドもあまり親切ではないのだが、理解してしまえば自由度は高い。
上記を20円幅・30円幅としたり、両建てにしたり売りにしたり。色々変更すればリピート系として困ることは少ないのでは。
今回のようなトラリピ的な鉄板リピート注文から、フォローを入れて安値を切り上げていく順張り自動売買・カウンターを入れて切り下げていく逆張り自動売買なども設定できる。
一本一本フォロー/カウンター幅を弄ることも出来るので、かなり緻密な設定も出来るのかもしれない。
その自由度などを考えると、手数料もまあまあ良心的ではなかろうか。
『ビルダー機能』はこちらも参照
2019年7月、新たな発注方法として『ビルダー機能』が実装された。
基本的な構造は変わっていないのだが、少し画面が違うのでこちらも参考に。
(もちろん、従来の機能も引き続き利用可能。)
-
-
トライオートFXの新機能『ビルダー機能』発注方法まとめ
非常に自由度の高いFX自動売買システム『トライオートFX』(インヴァスト証券)。 かなり細かい設定ができる反面、初見だとその設定項目に何をしたらいいのか分からないということも多い。 そこ ...
続きを見る
まとめ
独自機能はちょっと残念だけど、狭めのコスト・自由度の高い注文という点で非常に総合力が高いと思っている。僕自身がリピート運用する上でも筆頭候補だろう。
ただし、注文に少しクセがある(というか、ちょっと説明不足で分かりづらい)のでこの記事を参考にして頂けると幸い。
マニュアル注文ならばスプレッドはかなり狭いので、裁量・リピート複合運用にもおすすめ。有事にはヘッジを入れるなど、どっちにも使える口座というのは中々貴重・・・かも?